因数分解って難しいですよね。
かなりパズル要素が強いというか、中学生が「こんなのひらめくわけないだろ!」と思ってしまいがちな計算分野です。
でも実は因数分解って、適切に整理しておけば99%の問題はひらめかなくても解けるんです。
というわけで、今回の論理編と、次回以降の公式編・テクニック編を勉強することで、因数分解を得意になってしまいましょう!!
因数分解の考え方
まず初めに、因数分解をする際どんな気持ちで何を目指しているのか?ということを学びましょう。
そもそも「因数」って何のことかわかりますか?忘れている人はここで復習しましょうね。
因数とは
因数とは、
1つの数や式が、いくつかの数や式の積の形で表されるときの、その個々の数や式のこと
を言います。分かりづらいと思うので具体例を挙げると、
- 36=2×18と書いたとき、2と18は36の因数
- ac+ad+bc+bd=(a+b)(c+d)と書いたとき、(a+b)と(c+d)が左辺の因数
かけ算の形にしたときの1つ1つのパーツのことを因数と言うのですね。
だから式をかけ算の形にすること、つまりパーツパーツに分解することを因数分解と言うのです。
因数分解するときの目標
因数分解するとき、いつもなんとなく式をいじっていませんか?
その調子だと、いつまで経っても安定して問題を解けるようにはなりません。
大事なことは、「何を目指して式をいじるのか」です。
ではそれは何かというと、共通因数でくくることです。
考え方の流れはこうです。
習いたてのころの因数分解の問題って、公式に慣れるために、公式さえ使えれば解ける、公式を当てはめるだけの問題がほとんどですね。共通因数の話は初期に少し出てくるだけです。
そのため因数分解は公式ゲーだと思われがちですが、公式はあくまで道具なのです。
なぜなら、因数分解の本質は共通因数を見つけることだから。
因数のところで説明しましたが、因数分解ってかけ算の形にすることですよね。
だったら共通因数さえ見つけてしまえばとりあえずかけ算の形にはできますよね??
かけ算の形にするのが因数分解で一番難しいところなわけですから、この時点でほとんど問題は終わっていると言って良いわけです。
とはいってもピンとはこないと思うので、実際の例を見て確認していきましょう。
\begin{aligned} &例題:\\ &(x^2-y^2)^2+2x^2+4xy+2y^2を因数分解せよ。 \end{aligned}
このような問題を解くとき、まず「共通因数でくくれないかなぁ…」と考えます。
でもぱっと見は分からないですね。
というわけでいったん諦めて、今度は「公式に当てはめる」ことで全体に共通因数が見えてこないか確認します。
まず前半に二乗の差の形がありますね。また後半も2でくくってからなら公式に当てはめられそうです。
すると、「お?全体を共通因数でくくれるかも…?」。
とりあえずここまで変形してみましょう:
\begin{aligned} (x^2-y^2)^2+2x^2+4xy+2y^2&=\{(x+y)(x-y)\}^2+2(x+y)^2\\ &=(x+y)^2(x-y)^2+2(x+y)^2 \end{aligned}
たしかに、共通因数(x+y)^2が見えました。ですから、
\begin{aligned} (x^2-y^2)^2+2x^2+4xy+2y^2&=\{(x+y)(x-y)\}^2+2(x+y)^2\\ &=(x+y)^2(x-y)^2+2(x+y)^2\\ &=(x+y)^2\{(x-y)^2+2\}\\ &=(x+y)^2(x^2-2xy+y^2+2)\\ \end{aligned}
が答えになります。
何度もいいますが、大事なのは共通因数でくくることです。
これが基本中の基本なので、今回紹介した考え方を忘れないでくださいね。
今回の宿題
- 中学3年の単元「因数分解」から計算問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。