【過去問】2021(令和3)年 都立新宿高校 数学【後編(大問3,4)】

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この記事に掲載されている過去問の問題文や図は、高校の公式HPからの引用です。
元の問題を見たい人は以下のボタンから問題・解答に飛ぶことができます。

2021年度都立新宿高校の入試で出題された数学の解説をします。今回は大問3,4の解説です。
大問1,2はこちら

大問3は、三角形の面積比の理解で点差が開いたのではないかと思います。問1と問3(2)で面積比が現れますが、問1などは分からなくて飛ばした人も多いのではないでしょうか。どちらかというと問2の方が問1っぽい簡単な問題でしたね。また問3(2)ではメネラウスの定理が出てきています。中学校で習うことはおそらく無いですが、受験頻出の定理なので覚えておきましょう。

大問4は、確率の問題でした。はっきり言って難しくはないですが、確率・整数の問題は嫌いな受験生の多い分野ですので、ここも点差が開いたかもしれません。確率の問題は設定の解釈が重要なことが多いので、普段からきちんと練習しておきましょう。

今回初出のポイントはこちらです。

サイコロ2つの時は、マス目状の図で数え出せ!

大問3

問題文

下の図1で,△ABCはAB= 2 cm, ∠ABC = 45°. 面積が\sqrt{2} cm^2, AB = BCの二等辺三角形である。点Pは,辺BC上にある点で,頂点B.頂点Cのいずれにも一致しない。頂点Aと点Pを結ぶ。次の各問に答えよ。

図1

〔問1〕AC = AP, AC = 2a cmのとき, △ACPの面積は, △ABCの面積の何倍か。aを用いた式で表せ。

〔問2〕下の図2は,図1において,辺AB上にあり,頂点A.頂点Bのいずれにも一致しない点をQ, 線分AP上にあり,頂点A, 点Pのいずれにも一致しない点をRとした場合を表している。2点Q,Rを結んだ直線が頂点Cを通る場合を考える。△CBQ ∽ △CRP, ∠BCQ= 52゜のとき,∠BAPの大きさは何度か。

図2

〔問3〕下の図3は.図2において, 点Qと点Rを結んだ直線と辺BCとの交点をSとした場合を表している。線分BSの中点がP, AQ = BP, QS//AC となるとき,次の(1), (2)に答えよ。

図3

(1) 点Rが線分APの中点であることを下の破線部の中のように証明した。(a)~(h)に当てはまる最も適切なものを下のア~卜の中からそれぞれ1つずつ選び,記号で答えよ。ただし同じものを2度以上用いて答えてはならない。

破線部

(2) △RPSの面積は何cm^2か。

問1

問1の問題設定には、反転型の相似が隠れていることに気づいたでしょうか?

二等辺三角形BACの中に二等辺三角形APCがあって、それらの底角の大きさが等しいですね。これはまさに△BAC∽△APCであることを示しています。

これらの相似比は、対応する辺を比べて2:2a=1:aです。従って面積比はその二乗の比ですから1:a^2となり、答えはa^2倍となります。

反転型の相似に気づくことがポイントです。この相似は気づきにくいので気をつけるようにしてください。

問2

角度問題で頻出の形があるので、まずはそれを紹介しておきましょう。

きつね型

Rendered by QuickLaTeX.com

上の図で、∠A+∠B+∠C=∠BOCが成立する。

これは直線AOを補助線として引き、△ABOと△ACOについて外角公式を用いることで証明することができます。

さて今回は、このきつね型の形が現れていることに気づけば一瞬でした。…どこがきつね型かわかりますか?

そうですね、点A,B,C,Rをむすんだ形がまさにきつね型です。よって、∠ABC+∠BAP+∠BCQ=∠ARCが成り立ちます。ここで、

  • 問題文より、∠ABC=45°
  • 問題文より、∠BCQ=52°
  • 相似なので対応する角は等しくて、∠PRC=45°で、∠ARCはその外角だから135°

ですから、∠BAP=135°-45°-52°=38°となります。

問3

(1)

△RAQ≡△RPDを示すことで、PR=RA、つまり点PがARCはその外角の中点であるということを示そうというのが今回の問題ですね。誘導に合わせて記号を答えるだけなのでここは省略します。

(2)

△RPSの面積を求めたいですが…高さと底辺の長さを求めて頑張る、というのは難しそうです。

しかし今回は全体△ABCの面積が\sqrt{2}cm^2と与えられているので、もしかしたら△ABCに対する△RPSの面積比を求めるのが良いのでは?ということに気づきます。

では面積比を出すにはどうしたらよいか考えてみます。まず辺の比BP:PCから△PACの面積が△ABCの何分の1なのかを求め、その後△PAC∽△PSRの相似比が分かれば…そこから面積比を出せそうですね。

というわけでまずBP:PC、次に相似比を出すためのPS:SCを出すことが目標になります。

そのために最初に気づかなければいけないのは、△ABCの左側にあるメネラウスの定理の形(点P-A-B-S-Qを結んだ形)です。(1)でPR=RAを示したということが実は誘導になっていますね。実際、(1)のPR=RAを用いるとメネラウスの定理よりAQ:BQ=1:2と求まります。

さらにQS//ACからBS:SC=2:1、点PがBSの中点であることよりBP:PS:SC=1:1:1であると分かります。実はBP:PCとPC:PSは同時に求まってしまうのですね。

よって、△RPS=\frac{2}{3}\times \left(\frac{1}{2}\right)^2 \times△ABC=\frac{\sqrt{2}}{6}cm^2となります。

大問4

問題文

1から6までの目が出る大小lつずつのさいころを同時に1回投げる。大きいさいころの出た目の数をa, 小さいさいころの出た目の数をbとする。下の図1で,点Oは原点, 点Aの座標を(a, a+b), 点Bの座標を(a,2b)とし, a= 3, b = 6の場合を例として表している。
原点から点(1,0)までの距離および原点から点(0,1)までの距離をそれぞれ1cmとして,次の各問に答えよ。ただし,大小2つのさいころはともに,1から6までのどの目が出ることも同様に確からしいものとする。

図1

〔問1〕点Bのy座標が,点Aのy座標より大きくなる確率を求めよ。

〔問2〕下の図2は,図1において,直線lを一次関数y=xのグラフとした場合を表している。点Aと点Bを結んだ場合を考える。直線lと線分ABが交わる確率を求めよ。ただし,点Aと点Bのどちらか一方が直線l上にある場合も,直線lと線分ABが交わっているものとする。

図2

〔図3〕下の図3は,図1において,点Oと点A, 点Oと点B, 点Aと点Bをそれぞれ結んだ場合を表している。△OABの面積が3cm^2となる確率を求めよ。

図3

問1

条件を不等式で表すと、a+b<2b、つまりa<bです。
このような場合は、下図のように考えると15通りあります。

問1の組み合わせ

よって答えは\frac{15}{36}=\frac{5}{12}です。

今回の大問のように「サイコロ2つ」を振って、いろいろな場合の確率を考える問題設定はよくあります。この問題設定の時はほとんど、

条件を整理してから、マス目状の図を描いて当てはまるものを数え出す

というやり方をします。よってこれはポイントにして覚えておきましょう。

サイコロ2つの時は、マス目状の図で数え出せ!

問2

点Aと点Bのx座標は、共にaです。よって、線分ABが直線y=xと交わるかどうかを考えるためには、点(a,a)が線分AB上にあるか?というのを考えれば良いことになります。そして実際、点(a,a)が線分AB上にあるのは

  • 点Aより点Bが上側にあって、2点の間をy=xが通るとき(つまりa+b≦a≦2b)
  • 点Bより点Aが上側にあって、2点の間をy=xが通るとき(つまり2b≦a≦a+b)

の2パターンが考えられますね(端点A,Bも含めることに注意)。ですがよくよく式を見てみると、1番目のパターンのa+b≦aというのはあり得ません(aは1以上なので)。よって今回は、2番目のパターンだけを考えれば良いことになります。a≦a+bはいつでも成り立つので、2b≦aとなる場合さえ下図のように考えてあげれば十分です。

問2の組み合わせ

したがって、求めたい場合は9通りとなり、答えは\frac{9}{36}=\frac{1}{4}です。

問3

三角形の面積を表すには、底辺の長さと高さを知る必要があります。

今回、高さは点A,Bのx座標であるaですね。底辺の長さのほうは以下のように、少し場合分けが必要です。

  • 点Aが点Bより上側にあるとき(2b<a+b)、底辺の長さは(a+b)-2b=a-b。
  • 点Bが点Aより上側にあるとき(a+b<2b)、底辺の長さは2b-(a+b)=b-a。

よって上で表した高さ・底辺の長さを用いて、今回の条件である△OAB=3cm^2というのを表すと、

  • b<a かつ a(a-b)=6
  • a<b かつ a(b-a)=6

となるような場合を数え上げれば良いと分かりますね。下図のように数えてあげれば、

問3の組み合わせ

答えは\frac{4}{36}=\frac{1}{9}と分かります。

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