関数の問題で頻出のパターンとして、「○○の面積を二等分する直線の式を求めよ」というものがあります。
こういった問題は、式をどう計算するか?というよりも、そもそもどんな直線を引けば良いのか?というところでつまずいてしまいがちです。
というわけで、それぞれの図形に対してどのような直線を引けば面積を二等分できるのかということを1つずつ見ていくことにしましょう。
今回のポイントはこちら。いつもよりちょっと多めです。
- 頂点を通って三角形を二等分する直線は、対辺の中点と結べ!
- 頂点を通らず三角形を二等分する直線は、等積変形の利用!
- 平行四辺形の二等分線は、対角線の中点を通る!
- 台形の平行な辺を横切る二等分線は、4頂点の平均と結べ!
三角形の二等分
頂点を通る場合
三角形の面積を二等分する問題で一番多いのがこの設定です。
こんな時は以下の手順で直線の式を求めます:
- 直線が通る頂点の対辺を見る。
- 対辺の中点を求める。
- それら頂点と中点を結ぶ。
この手順は、頂点を通り底辺を二等分する直線は、三角形の面積を二等分するという性質に基づいています。例を見てみましょう。
これをポイントにすると、
頂点を通って三角形を二等分する直線は、対辺の中点と結べ!
頂点ではなく辺上の点を通る場合
つまり、三角形ABCが、点Pを通る直線mで
のように面積が二等分されているような場合です。
手順を説明する前に、まずどう考えていくかを見ましょう。
考え方
利用するのは等積変形の考え方です。
下の図を見てください。
ここで、PM // CQです。実はこの状態で、線分PQは三角形ABCを二等分しています。
まず、直線CMは先ほど求めたとおり三角形の面積を二等分していますね。だから、\triangle{CMB}=\triangle{PQB}となればPQが二等分線だと言えそうです。
でもよく見ると、2つの三角形は三角形PMBを共有しています。さらに等積変形の考え方により、\triangle{CMP}=\triangle{PQM}です。これらを合わせると結局、\triangle{CMB}=\triangle{PQB}であるということが分かります。
等積変形を使うことで、頂点を通って二等分する場合に帰着させるというのがこの考え方の重要点ですね。
手順
それでは上の考え方を、具体的な手順に落とし込みましょう。
こういうときの手順は以下のようになります:
- 辺上の点が、同じ辺上の頂点のうちどちらに近いかチェックする。
- 近い方の頂点から見た対辺の中点を求める。
- 中点と辺上の点を結んだ傾きを求める。
- その傾きで、かつ2.で考えた近い方の頂点を通る直線の式を出す。
- その直線の式と、対辺の交点を求める。
- その交点と、辺上の点を結んだ直線の式が答え。
ちょっと手順が長いですから、これをまるまる覚えるというよりも、手順と考え方を見比べつつ上の考え方のほうを理解してください。そうすれば手順は自然と再現できるようになります。
それでは例で見てみましょう。
それでは解説の時に用いたこの設定でやっていきましょう。
点Pを通り、三角形ABCを二等分するような直線の式を求めてみます。
手順に沿っていくと、以下のようになりますね。
- まず点Pは、点Cのほうに近いです。
- 点Cの対辺ABの中点Mの座標は(1,0)ですね。
- 点PとMを結んだ直線の傾きは-5になります。
- 傾き-5で点Cを通る直線の式はy=-5x+3です。
- これと直線ABの式(求めるとy=-\frac{1}{3}x+\frac{1}{3}になります)の交点を求めると、(\frac{4}{7},\frac{1}{7})となります。この点をQとしましょう。
- 最後、直線PQの式を求めるとy=-34x+\frac{39}{2}となり、これが答えです。
意外と手順1.が大事なので気をつけてください。
たとえば、今回の例において点Cではなく点Bを選んだら…それ以降が同じ手順でも、なんだか変な式が出てくるはずです。余力のある人はやってみてくださいね。
ポイントにしておきます。
頂点を通らず三角形を二等分する直線は、等積変形の利用!
平行四辺形の二等分
平行四辺形を二等分する直線は、必ずある点を通ります。
それは、対角線の中点です。(平行四辺形において対角線はそれぞれの中点で交わるので、対角線の交点でも構いません)
よって、平行四辺形を二等分する直線を求める手順は以下の通りです。
- 対角線の中点を求める。
- 問題文で与えられている点と結ぶ。
例で見てみましょう。
それでは以下の図で、点Pを通り、平行四辺形OABCを二等分する直線の式を求めてみましょう。
手順に沿っていきます。
- 対角線の中点をMとすると、例えばOBの中点を求めてM(2,1)
- 点PとMを結んで、求める直線の式はy=\frac{1}{3}x+\frac{1}{3}
と分かりますね。
平行四辺形には、正方形・長方形・ひし形などの四角形も当然含まれます。
よってこの考え方はそれらの四角形にも適用できるので、かなり広い範囲をカバーできるやり方だと言えますね。
よってポイントは、
平行四辺形の二等分線は、対角線の中点を通る!
台形の二等分
上底or下底の上にある1点を通って、面積を二等分する場合
このような場合、どうすれば良いでしょうか?
まず、台形の面積は:
(台形の面積)=\{(上底)+(下底)\}\times(高さ)\times\frac{1}{2}
で表されていたことを思い出しましょう。そして、上の図のように台形が二等分されるとき、左右の台形は高さが等しくなっています。
ということはこの時、左右の台形の{(上底)+(下底)}は同じになっているはずですね。
その観点から見れば、上底と下底のそれぞれの中点M、M’を結んだ以下の線分MM’は、明らかに台形OABCの面積を二等分しています。
しかしこの線分MM’は点Pを通っていないので、これでは答えになりません。
そこで『左右の台形の{(上底)+(下底)}は同じになっているはず』ということから、点Mを点Pまでずらした長さぶん、点M’をずらした点P’を考えることで帳尻を合わせようと考えます。
こうすれば、直線PP’が台形を二等分する、といえるでしょう。
しかし実践的には、この考え方をなぞるのって少し面倒ですよね。
そこで、線分MM’の中点をRとすると、実は△PMR≡△P’M’Rとなっていることに着目しましょう。
これより、点Pと点Qを結ぶ代わりに、点Pと点Rを結んでも結局求めたい直線になるということがわかります。
ちなみに、点Rのx座標、y座標はそれぞれ点A,B,C,Dのx座標、y座標の平均となっていることを知っておくとより素早く解答を進めることができますよ。
さて以上を踏まえれば、解答の手順は以下のようになります。
- 4つの頂点から、点Rの座標を求める。
- それと点Pを結ぶ。
それでは例を見てみましょう。
この設定で、点Pを通る二等分線を求めていきます。手順に沿っていきましょう。
- 4つの頂点のx座標、y座標をそれぞれ平均すれば、点R(13/4,3/2)です。
- よって求める直線PQの式は、y=-6x+21です。
ポイントにしておくと、
台形の平行な辺を横切る二等分線は、4頂点の平均と結べ!
二等分線が、平行でない辺を通っているとき
このときは地道に計算するしかないことが多いです。特に統一された手順はありません。
これは上にあげた図形にも当てはまることですが、意外と地道に計算する方が分かりやすいし早い、ということもままあります。状況に応じて臨機応変に対応するのがベストですから、きちんと判断できるように演習はたくさんやりましょうね。
今回の宿題
- 中学2年の単元「一次関数」などから、二等分線の問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。
読んでも分からないものがあるときは
分からないものを質問したいときは、学校の先生や周りの子に聞いてみたり、通っている人は塾の先生に聞いてみたりしましょう。
また、「家庭ネット」という初回無料のオンライン家庭教師サービスもオススメです。是非活用してみてください。