空間図形の問題を解くとき、皆さんはどのように取り組んでいますか?
頭の中で立体を組み立てる?
ペンと消しゴムでなんとか問題の立体を手元に作ってみる?
それが必ずしも悪いとは言いません。ただ、一番確実なやり方ではないですね。
最も確実なやり方は、空間図形を平面図形に落とし込むこと。受験生なら絶対覚えておいて欲しい考え方なので、この記事で完璧にしてください!!
立体図形は、内側は断面図・表面は展開図・それ以外は投影図に落とし込め!!
空間図形は平面図形に落とし込め!
私たちは、試験において立体を扱うことが得意ではありません。
なぜなら、試験で私たちが使えるのは紙とペンだけだからです。試験でなければ、粘土や積み木という立体物を使って考えることもできたでしょう。しかし紙しかないのでは、立体を自由に表現する手立てがありません。(折り紙すればいいじゃん、とかはナシです。折り紙をして立体を作れたとしても、それを使って実際問題を解けるかというのはまた別の話ですからね。)
つまり、現実的な手段として私たちは三次元の敵(問題)に対して二次元の武器(紙)しか持っていないわけです。これでは敵とうまく戦えないのも当然でしょう。
ですから実際多くの中学生は、頭の中の想像だけで問題を解こうとします。平面図形や関数なら紙の上に整理しながら問題を解き進められたのに、空間図形になった途端に頭の中だけで完結させようとしてしまうのです。これでは正確性もスピードも下がってしまい、点数に繋がりません。
そこでここでは、二次元の武器である紙を有効活用することを強くおすすめします。具体的には、
空間図形を解く際、必要となるごとに断面図・展開図・投影図のいずれかを問題用紙の余白に書いて考える。
ということです。手間は増えますが、こうすることで問題設定が整理しやすくなったり、問題に隠れて言うヒントを見つけやすくなります。
以下では、具体的な例を見つつ立体の平面図形への落とし込み方を学んでいきましょう。
平面図形への落とし込み方3選
断面図
立体図形で一番よく使うのはこれでしょう。皆さんも問題解くとき使ってるはずです。
断面図は、欲しいもの(線分の長さや面積など)が立体の内側に含まれているときに使います。
下の例で見てみましょう。
[例題]以下の正四面体の高さOHを求めよ。なお、線分ABの中点をMとする。
高さを示す線分OHが、正四面体という立体の内側に入り込んでいます。
よって、OHを含む断面を探します。今回は三角形OMCを断面図として取り上げると良いでしょう。点Hは△ABCの重心であることに注意すれば、以下の図のようにそれぞれの線分の長さが分かります。
あとは三平方の定理より、OH=2\sqrt{2}と分かります。
展開図
展開図は、立体の表面が話題になっているときに使います。
特に、以下の例に挙げたような立体の表面をたどる最短経路の問題は頻出です。
[例題]以下の正四面体OABCにおいて、点Bから出発し、△OBC、△OCAの上をこの順で通り、点Aと繋がるような線分を引く。この線が最短となるときの長さを求めよ。ただし正四面体の一辺の長さは2であるとする。
欲しい線分の長さは正四面体の表面上にありますから、これは展開図の出番です。
ただし展開図を書くとは言っても、関係ないところ、つまり今回だと太線が通っていない面まで書き出す必要はないでしょう。というわけで、△OBCと△OCAの面だけを書き出します。
この展開図上で点Bと点Aを結ぶ最短の線は、点Bと点Aを結ぶ直線ですね。
というわけで、△OBCと△OCAがそれぞれ正三角形であることに注意すれば、AB=2\sqrt{3}と分かり、答えは2\sqrt{3}です。
投影図
投影図は、比が絡む問題で、断面図や展開図では解きづらい場合に使われます。
とは言っても想像がつかないでしょうから、以下の例を見てみましょう。
[例題]以下の直方体ABCD-EFGHにおいて、点P,Q,R,Sはそれぞれの辺の中点である。点Tを辺EF上にとり、点DとTを結ぶ。線分DTと面PQRSが交わる点をUとするとき、DU:UTを求めよ。
この図では点Tの値がきっちり与えられていない(辺EFの上ならどこでも良い)設定ですから、具体的にどこで断面図を取れば良いのか?というのがはっきりしません。
こんなときは投影図です。立体の辺が骨組みだと思って、面BCFGに垂直に右手前から光を当てた影を考えてみます。すると以下のような図になるはずです。点同士が重なってつぶれてしまうところは、かっこで名前を添えてあります。
ここで角共有型の相似(△FUQ∽△FCB)が見えますね。点QがFBの中点であることより、相似比は1:2であると分かります。よってCU:UF=1:1です。
投影によって比は変わっていないので、DU:UT=CU:UF=1:1が答えだと分かります。
上の例で、投影によって比が変わらないことに疑問を覚えた人もいるでしょう。たしかに、投影はいつでも比を保つ訳ではありません。今回は、比を保つように投影しています。どうして比が保たれるのか分からない人は、以下の図を見てください。
点Uは、投影によって点Kの位置に移りますね。ここで、△DKU∽△DET(角共有型の相似)であることに気づけば、対応する辺の比として、確かに比が保たれていることが分かるでしょう。
以上、3つの落とし込み方を紹介しました。まとめてポイントにしておきたいと思います。
立体図形は、内側は断面図・表面は展開図・それ以外は投影図に落とし込め!!
今回の宿題
- 中学2年の単元「空間図形」などから、問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。