第1-6回 因数分解(たすきがけ編)

たすきがけの図 基礎講座
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過去三回にわたって因数分解について扱ってきましたが、いよいよそれも最終回となりました。

今回扱うのは「たすきがけ」というテクニックで、ぱっと見で解けなさそうな因数分解の問題はこれを使えば八割方解けます。めちゃめちゃ強い道具ですね。

前半でたすきがけの説明をし、後半でこれまでの因数分解の説明を踏まえ、実践ではどういう考えの順番で因数分解の問題に取り組めば良いのか?というまとめをしようと思います。

ここまで来れば因数分解に怖いものなし!!
ぜひマスターしてくださいね。

今回のポイントはこちら。

  • ぱっと見分からないなら、たすきがけ!

因数分解の秘密兵器:たすきがけ

たすきがけとは、一言で言うと「公式を覚えやすくするための考え方」です。
それ以上でもそれ以下でもありません。

ではどういう公式か?と言うと:

acx^2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)

というモノです。
右辺を展開してみて、実際に左辺になることを確かめてみてください。

基本的にはこの公式さえ覚えて、あとは他の因数分解の公式と同じように問題に当てはめていけば良いのですが…ちょっと文字が多くて難しい感じがしますよね。

例えば:

3x^2+4x+4

を上の公式を使って因数分解しろ、といわれても…何がa,b,c,dに当てはまるの?って感じです。

そこで「何がa,b,c,dに当てはまるのか」を考えるために、たすきがけが登場するわけです。

たすきがけ

まず、たすきがけという考え方の手順を教えましょう。

たすきがけ
  1. x2の係数と定数項を、それぞれ2つの因数の積に分解する。
  2. それら4つの因数を(図1)のように組み合わせて計算した結果が、xの係数に一致するように調節する。うまく調節できなければ、1.の分解の仕方を変えてやり直す。
  3. 2.でうまく一致させられたら、得られた係数a, b, c, dをもとに因数分解する。
たすきがけの図

図1の「かける」のところがちょうどバツの形、つまりたすきの形に似ていますね。
だからこの考え方をたすきがけというのです。

この図を書いて(または思い浮かべて)、公式のa,b,c,dに当てはまるモノがなんなのか探せば、かなりやりやすいと思います。

では実際の例題を見てみましょう:

例1

先ほどの、

3x^2-4x-4を因数分解せよ

という問題を解いてみます。

たすきがけの図を思い浮かべて、

3x^2-4x-4=(3×1)x^2-4x+2×(-2)

と、係数を分解してみます。1つ目の手順ですね。
これは実際に3\times(-2)+1\times2=-4となりますから、図1にぴったり当てはまることが分かります。(今回は解説なのでいきなりうまく分解してますが、実際には図1に当てはまるまで色々試行錯誤する必要があります。)

というわけで、これを公式に当てはめて:

\begin{aligned}
3x^2-4x-4&=(3×1)x^2-4x+2×(-2)\\
&=(3x+2)(x-2)
\end{aligned}

と因数分解できました。

係数が数字のときは、基本的に整数の積に分解することだけ考えれば十分です。
整数なので、負の数もあり得ることに注意してください(たとえば3を分解するとき、1×3でもいいし、(-1)×(-3)ってのもありますよね)。

そして、係数が数字とは限らないとき、つまり他の文字とかが含まれるときもたすきがけは使えます。特に難しい因数分解の問題に応用できるたすきがけというのは、このパターンのことです。

前回に登場した例題を、たすきがけで解いてみましょう:

例2
\begin{aligned}
x^2y^2+1-x^2-y^2-4xyを因数分解せよ。
\end{aligned}

という問題でたすきがけをします。

前回では-4xyを分解しましたが、今回はそれを思いつかなかったとしましょう。

すると、何をすべきかと言えば…困ったら…?そう、次数の低い文字で整理するんでしたね。

今回はx,y共に次数が2なので、どちらで整理しても良いです。
ですから、ここではxで整理するとしましょう。

\begin{aligned}
x^2y^2+1-x^2-y^2-4xy&=(y^2-1)x^2-4yx-y^2+1
\end{aligned}

たすきがけをするためには、x^2の係数と定数項を2つの因数の積に分解しなければなりません。

今回の場合、たとえば定数項なら、

  • 1-y^2+1
  • -1y^2-1
  • (1-y)(1+y)
  • (y-1)(-y-1)

のような分解の仕方がありますね。
分数がでてきたりする場合を考えなくても良いのは、係数が整数の場合と同じです。
基本的に、自然と分解できる(今回なら上の4パターン)もののみを考えれば良いでしょう。

そんな感じでx^2の係数の分解もリストアップして、図1に当てはまるような分解を考えれば…

\begin{aligned}
x^2y^2+1-x^2-y^2-4xy&=(y^2-1)x^2-4yx-y^2+1\\
&=(y-1)(y+1)x^2+\{(y-1)^2+(-y-1)(y+1)\}+(y-1)(-y-1)\\
&=\{(y-1)x+(-y-1)\}\{(y+1)x+(y-1)\}\\
&=(xy-x-y-1)(xy+x+y-1)
\end{aligned}

となって、答えが出ます。

前回紹介した解法より少し手順は多くなりますが、この方法ならひらめかなくても、丁寧に手順さえたどれば答えを導くことができます

受験本番、緊張でひらめけないことは多々あります。
だからこそ、手順さえたどれば解けるというたすきがけの価値は非常に大きいです。

何度か練習して、実践でたすきがけを使えるように練習してみてください!

というわけでポイントとして、たすきがけをポイントノートに載せましょう。

  • ぱっと見分からないなら、たすきがけ!

因数分解のまとめ

これまで因数分解の考え方やテクニックなど色々紹介してきましたが、実際に問題を解くときに考える手順は以下のようになります。

因数分解するときは…
  1. まずは共通因数がないか、公式があてはまらないか、文字置きできないか、特徴的な形が無いか考える。
  2. だめそうなら次数の最も低い文字で整理して、もう一度1.のように考える。
  3. たすきがけが使えないか考える。
  4. 諦める。

以上です。3.までやっても解けない問題は、試験場じゃ誰も解けませんから諦めて他の問題を考えるべきでしょう。

むしろ3.までを確実にこなせるよう、日頃の勉強で練習を重ねてください。


ここまで読み進めた人なら、99%の因数分解は(これまで学んだことを踏まえつつ)解けるように成っているはずです!!がんばってください!

今回の宿題

  1. 中学3年の単元「因数分解」から計算問題15問以上

を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。

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