数学の問題を解くとき、ほとんどの問題で多かれ少なかれ計算をします。
そのとき、
「計算ミスが減らない…」
「計算に時間がかかる…」
そんな風に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
計算は数学の土台です。計算が苦手な人はいつまで経っても点数がとれません。
そこで初回である今回は、数学が得意な人が自然とやっている計算の基本のうち、全ての計算の前にこれだけはやっておけ!ということを学びましょう。
今回のポイントはこちら。
- 小数は分数に!
- 割り算はかけ算に!
- 分母のルートは有理化!
計算は簡単な形にしてから!
たとえば、以下のような式を計算したいとします:
\frac{3}{\sqrt{5}}\times a \times\sqrt{0.25}\div\frac{ab}{20}+\frac{4}{b}
明らかにごちゃごちゃしてて嫌ですよね。
そこでまず分数やルートを1つずつ簡単な形にしていきます。1つずつとは、\frac{3}{\sqrt{5}}やaなどのかたまりごとに、ということです。チェックするポイントがあるのでいくつか見ていきましょう。
簡単にすると何が嬉しいのか?はこのページの後半で書きますね。
小数は分数に直せ!
これは基本中の基本なのですが、受験生になってもまだ小数を小数のまま計算している人がいます。はっきり言って、小数を小数のまま計算していて良いことは99%無いです。
ですから必ず、小数が計算に出てきたら分数に直してから計算を始めてください。
上の例では\sqrt{0.25}ですね。まずはこれを簡単にしましょう。
\begin{aligned} \sqrt{0.25}&=\sqrt{\frac{25}{100}} \\ &=\sqrt{\frac{1}{4}} \\ &=\frac{1}{2} \end{aligned}
\sqrt{0.25}のまま扱うよりよほど楽そうです。
割り算はかけ算に直そう
小数が無くなっていれば、基本は各項が分数の形になっているはずです。このタイミングで、割り算をかけ算に直しておきましょう。
今回は\div\frac{ab}{20}が直せそうです。
\frac{3}{\sqrt{5}}\times a \times\frac{1}{2}\div\frac{ab}{20}+\frac{4}{b} =\frac{3}{\sqrt{5}}\times a \times\frac{1}{2}\times\frac{20}{ab}+\frac{4}{b}
分母の√は有理化しろ!
たまに「いや、\sqrt{0.25}と\sqrt{5}で約分できそうだし…」という人がいますが、そんなことしてたら絶対計算ミスします。約分するのは有理化してからで十分ですし、その方が経験上ミスが少ないです。
今回の例では、\frac{3}{\sqrt{5}}が有理化できそうですね。
\begin{aligned} \frac{3}{\sqrt{5}}&=\frac{3\times{\sqrt{5}}}{\sqrt{5}\times\sqrt{5}}\\ &=\frac{3\sqrt{5}}{5} \end{aligned}
最後に、項全体で約分しよう!
ここまで下準備して何がしたかったのか?というと、見出し通り「項全体で約分したかった」んです。こうすることで、その後の足し算や引き算がずいぶん楽になります。
約分は計算を簡単にするために使える頻出の道具ですが、その前に部分部分をきれいにしておかないと、計算ミスする子がたくさんいます。もちろん約分するつもりが無くても、上の3ポイントは他の計算にも効いてきます。だから必ず、計算の前にこうやって準備するのを忘れないでくださいね。
では計算しましょう。
\begin{aligned} \frac{3}{\sqrt{5}}\times a\times\sqrt{0.25}\div\frac{ab}{20}+\frac{4}{b} &=\frac{3\sqrt{5}}{5}\times \cancel{a} \times\frac{1}{2}\times\frac{20}{\cancel{a}b}+\frac{4}{b} \\ &=\frac{3\sqrt{5}}{\cancel{5}}\times\frac{1}{\cancel{2}}\times\frac{\cancel{20}}{b}+\frac{4}{b} \\ &=3\sqrt{5}\times\frac{2}{b}+\frac{4}{b}\\ &=\frac{6\sqrt{5}}{b}+\frac{4}{b}\\ &=\frac{6\sqrt{5}+4}{b} \end{aligned}
ようやく計算が終わりました!!
途中式を積極的に書こう!
最後に、計算とは直接関係ないですが受験の時に大切なことを書きたいと思います。
それは途中式のことです。
これまでの説明では、かなり丁寧に途中式を書きました。
途中式があると、
- どうやって計算したか分かるから、見直しに使える。
- 結局暗算するより書いた方が早い。
というメリットがあります。
一つ目は、特に受験を意識してのことです。計算ミスは一定の確率で起こりますから、受験では見直しが必須になります。そのとき「どうやって計算したか」が分からないと見直しの時に再計算しなくてはならず非効率です。
また二つ目は経験則で、暗算を頑張る子が割といますが結局書いた方が早いのです。暗算をするとたいてい頭の中がごちゃごちゃしてきて、最終的に計算ミスをします。きちんとイコールで結んだ途中式を書くと、頭の中が整理されますし、何より自分が今何をしているのか意識しやすくなります。ですので手を動かすのをめんどくさがってはいけません。
かといって書いてばかりいても時間が無駄にかかりますから、暗算するかしないかの基準を教えておきましょう。
暗算していいのは「見て一瞬で答えが分かるとき」だけ!!
約分や分配など、1つならいけても、2つ3つ一緒にやるのは混乱しがちです。ちょっとでも大変そう、と思ったら必ず途中式を書いて一個ずつ処理していきましょう。
上の注意を踏まえて、より効率的な計算を目指してください!
まとめ
今回のポイントは
- 小数は分数に!
- 割り算はかけ算に!
- 分母のルートは有理化!
でした。必ずこの3つの下準備をしてから約分などの計算に入りましょう。
またその際、自分がミスをしない最低限度はきちんと途中式を書いてください!
あとは数をこなして慣れるしかない!がんばりましょう!
今回の宿題
- 中学2年の単元「式と計算」から計算問題15問以上
- 中学3年の単元「平方根」から計算問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。