第3-2回 普通の三角形の性質・公式で知っておくべきこと

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三角形は、平面図形の問題で最もよく見る形だと言っても良いでしょう。

そんな三角形の基本的な情報は、見た瞬間に頭に思い浮かぶように訓練しておかなければなりません。

今回は復習もかねて、三角形の基本的な事柄を思い出せておきましょう。ポイントはこちらです。

  • 角の二等分線と言われたら、底辺の比を見ろ!
  • 三角形の高さは、三平方と連立方程式を利用!
  • 面積比は、共通しているもの以外に注目せよ!
  • 1角共有の面積比は、挟んでいる辺の積の比!

三角形の成立条件

そもそも三角形が成り立つのはどんなときか?という条件です。
関数の時も似たような話がありましたが、あれとは少し違うので注意してください。

三角形の成立条件

三角形が成立するのは、全ての辺の長さが、他の2辺の和より短いときである。

たとえば、

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のような三角形では必ず

  • a+b>c
  • b+c>a
  • c+a>b

が成り立っているということです。

逆に、これが成立していない場合を考えてみるとどうでしょうか。例えば辺の長さが1,1,4の以下のような図形では…

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CとC’がくっつかないので、三角形にはなりませんね。

角度

内角の和

性質

三角形の内角の和は180度

もしかしたら、三角形関連で一番使われる性質かもしれません。例えばどんな時かというと、

  • 三角形の3つの内角のうち2つの大きさが分かっていれば、この性質からもう一つの内角の大きさが分かります。
  • 多角形をいくつかの三角形に分割しこの性質を使うことで、多角形の内角の和も分かります。
  • 180度という数字は、直線と相性が良いです(直線はある意味180度に開いた角だと言えます)。よって外角公式に繋がります。

こういうシチュエーションでは、この性質を思い出しましょう。

外角公式

内角の和から派生して出てくる公式に、外角公式というものがあります。

外角公式

三角形の外角は、それと隣り合わない2つの内角の和に等しい。
例えば以下の図において、\angle A + \angle B = \angle Cが成り立つ。

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先に述べたとおり、この外角公式は内角の和の性質に基づいているのですね。

ここで強調しておきたいのですが、三角形の外角って地味な割にとてもよく使います
内角の方に目がいきがちですが、外角のことも忘れないようにしてください。

角の二等分線

性質

角の二等分線によって2つに分けられた底辺の比は、それぞれが隣り合う辺同士の比に等しい。
つまり以下の図において、A:B=a:b

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はっきり言いましょう。問題文中に「角の二等分線を引く」設定があり、問題が線分の長さにまつわるものだったら、9割以上この性質を使います

角の二等分線と言われたら、底辺の比を見ろ!

面積

高さを求める

三角形の高さを求める問題は頻出ですから、ここで例題を1つ扱っておきましょう。

例題:以下の図で、鋭角三角形の高さCHを求めよ。

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というような問題があったとしましょう。このような問題では、以下のようにxとyで文字おきするのがセオリーです。

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なぜこのように文字おきするかというと、それは三平方の定理連立方程式を使いたいから。左右の直角三角形で1つずつ三平方の式が立てられるので、未知数を2つ置いてしまって問題ないということです。(未知数と式の数についてピンと来ない人はこちら

実際に式を立てて解いていきます。

\left\{\begin{aligned}
x^2+y^2&=a^2 \\
(c-x)^2+y^2&=b^2
\end{aligned}\right.\\
\therefore\left\{\begin{aligned}
x^2+y^2&=a^2 \\
x^2-2cx+c^2+y^2&=b^2
\end{aligned}\right.\\

ここで1式目のx^2+y^2の形が2式目にそのままあるので、加減法を使ってx^2+y^2を消すと:

\begin{aligned}
-2cx+c^2+a^2=b^2\\
\therefore x=\frac{c^2+a^2-b^2}{2c}
\end{aligned}

となって、xの値が分かりました。よってこれを元の式に代入すると:

y=\frac{\sqrt{-a^2-b^2-c^2+2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2}}{2c}

と分かり、これが答えです。

今回の例題では鋭角三角形を扱いましたが、鈍角三角形でも同様に解くことができます。ポイントにしておくと、

三角形の高さは、三平方と連立方程式を利用!

ヘロンの公式

上の例題を見ても分かる通り、三角形は三辺が分かっていれば高さが求められるので、そこからさらに面積を求めることもできます。

それを公式化したものがヘロンの公式です。

ヘロンの公式

三角形の三辺の長さをa,b,cとすると:

(三角形の面積)=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}

ただし、s=\frac{a+b+c}{2}と置いた。

上の例題を利用して、この公式を導出してみましょう。

ヘロンの公式の導出

上の例題より、

y=\frac{\sqrt{-a^2-b^2-c^2+2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2}}{2c}

である。

よって、

\begin{aligned}
(三角形の面積)&=\frac{1}{2}\times c \times y\\
&=\frac{1}{4}\sqrt{-a^2-b^2-c^2+2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2}\\
&=\frac{1}{4}\sqrt{(2ab)^2-(a^2+b^2-c^2)^2}\\
&=\frac{1}{4}\sqrt{(2ab+a^2+b^2-c^2)(2ab-a^2-b^2+c^2)}\\
&=\frac{1}{4}\sqrt{\{(a+b)^2-c^2)\}\{c^2-(a-b)^2\}}\\
&=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(a+b-c)(a-b+c)(-a+b+c)}\\
&=\sqrt{\frac{a+b+c}{2}\times\frac{a+b-c}{2}\times\frac{a-b+c}{2}\times\frac{-a+b+c}{2}}\\
&=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}
\end{aligned}

最後にs=\frac{a+b+c}{2}と置いています。

このように置き換えるのは公式として覚えやすくするためだったり、見やすくするためだったりします。sと置き換えずにこの公式を覚えられる猛者はそれでもいいですが、あまりおすすめはしません笑

高さor底辺共有の面積比

三角形の面積は、底辺の長さ高さが分かってしまえば確定するものです。

よって2つの三角形の面積比を考える際、

  • 2つの三角形の底辺の長さが等しいとき、面積比は高さの比に等しい。
  • 2つの三角形の高さが等しいとき、面積比は底辺の長さの比に等しい。

であることは明らかでしょう。

(底辺の長さが等しい例)

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(高さが等しい例)

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つまり面積比というのは、共通しているもの以外の要素で決まるということです。これは三角形以外にもあてはまります(例えば高さの等しい台形同士など)。

よってここはポイントにしておきましょう。

面積比は、共通しているもの以外に注目せよ!

1角共有の面積比

最後に、面積比問題で使うことの多い公式を紹介しておきましょう。

1角共有の面積比

以下のように1つの角を共有している2つの三角形で、AB:AC=a:b, AD:AE=c:dのとき、

\triangle{ABC}:\triangle{ADE}=ab:cd

が成り立つ。

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言葉で言うと、1つの角を共有している2つの三角形の面積比は、その角を挟み込む辺の長さの積の比に等しいということです。つまり、

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のような場合でも上の公式は成立するということです。

どちらの場合も証明は、2つの三角形の高さの比と底辺の比を考えるだけなので省略します。

1角共有の面積比は、挟んでいる辺の積の比!

今回の宿題

  1. 中学2年の単元「空間図形」などから、問題15問以上

を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。

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