円は、中学における平面図形でとても大きなウェイトを占めています。
その理由はいろいろありますが、やはり円周角の定理の存在が大きいでしょう。一見シンプルなこの定理ですが、この定理があるゆえに様々な円の問題が解くことができるという非常に重要な定理です。
そんな円周角の定理ですが、ただ角を移すだけではなく、中心角や弧といった円のその他の要素であったり、そもそも円があるかどうかといった根本的な話にも実は絡んできます。実践では特にこういったつながりがよく問われますから、今回で整理しておきましょう。
ポイントはこちらです。
- 円周角・中心角・弧の長さは互いに行ったり来たりできるように!
- 直径が出てきたら、円周角が90度であることを利用せよ!
- 等角型と直角対向型の形を見たら、円周角の定理の逆!
円周角・中心角・弧は全てつながっている。
さて、以下のような円Oと円周角APBを見てみましょう。
さて、ここで点Pを(点A,Bを超えない範囲で)円周上で動かしても、角の大きさxが変わらないというのが円周角の定理でした。言い換えれば、同じ大きさの弧に対する円周角は等しいということですね。
この性質に基づいて、さらに以下のようなことが言えるのも分かるでしょう。
- 弧がa倍になれば、円周角の大きさもa倍になる。
- 円周角の大きさがa倍になれば、中心角の大きさもa倍になる。
- 中心角の大きさがa倍になれば、この大きさもa倍になる。
などなど…。ここでaは、円周角の大きさが360度を超えないような値だとします。これらのことを見れば分かる通り、円周角・中心角・弧の長さは、比例の関係にあるのです。
この話を元に、さらに以下の図を見てみましょう。
先ほどまでの話を踏まえれば、
x:y=\angle AOC:\angle DOB=\stackrel{\frown}{AC}\ :\ \stackrel{\frown}{DB}
が成り立っているということが分かりますね。
つまり以上の話をまとめると、円周角の情報から中心角の情報も弧の情報も分かるし、逆もまたしかりということです。このように、ひとつの観点から別の話に持って行くやり方は受験で頻出ですから、よく覚えておいてください。では、これをポイントにしましょう。
円周角・中心角・弧の長さは互いに行ったり来たりできるように!
円に内接する四角形
上図のように円に内接している四角形で対角の和が180度であることも、円周角と中心角を行ったり来たりすることができれば明らかでしょう。
例えばこのように点AとBから中心に線を引いてみると…中心角が円周角の二倍であることに気をつければ、\angle APB+\angle AQB=\frac{1}{2}(x+y)=\frac{1}{2}\times 360^\circ=180^\circと分かるわけです。
超頻出:直径の作る円周角は90度
直径の作る円周角が90度というのは見れば分かる性質ですが、驚くほどよく出てくる性質です。円の問題で直径が出てきたら、99%の確率で円周角が90度であることを利用すると考えても良いくらいでしょう。
というわけでこれをポイントにしておきます。
直径が出てきたら、円周角が90度であることを利用せよ!
見えない円~円周角の定理の逆~
円周角について成り立つ円周角の定理ですが、逆に何も無いところに円を見いだすのが円周角の定理の逆というものです。円周角の定理の逆については、頻出の形が2パターンあるので覚えておきましょう。
以下では覚えやすいように、等角型と直角対向型という名前をつけています。
等角型
このように、底辺を共有していて、同じ方向に同じ大きさの角を持った2つの三角形があれば、頂点は全て同じ円周上に乗っています
この三角形が2つ重なった形を(正式な用語ではないですが)等角型と呼んでいます。覚えておきましょう。
直角対向型
(正式な用語ではないですが)直角対向型とは以下のような図形のことです。
斜辺の長さが等しい直角三角形を上下にくっつけた形ですね。これも、頂点が全て同じ円周上にあります。
これもやはり頻出な形です。では、2つ合わせてポイントにして覚えておきましょう。
等角型と直角対向型の形を見たら、円周角の定理の逆!
今回の宿題
- 中学2年の単元「空間図形」などから、問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。