第2-5回 三角形の不成立条件と面積公式

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座標を用いた問題で、一番よく目にする図形…それが三角形です。

そしてその三角形に関する問題で一番頻出なのが、面積に関するもの。面積関連の話題を覚えておくことは、関数分野のキホンのキなのです。

まず今回は、座標上の三角形の基本的な話題を復習します。特に最後の面積公式は、計算を楽にするテクニックとして今後も使っていきますのできちんと覚えましょう。

今回のポイントはこちら。

  • 座標上での三角形は、二線が平行or三線が一点で交わるときに不成立!

座標上での三角形の不成立条件

座標の上で直線が三本集まるとたいていの場合三角形ができます。

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たいていの場合、です…。
つまり、三本集まっても三角形ができない場合もあるということですね。

この「できない場合」に注意しておかないと、未知数の含まれている直線などを扱うとき、「三角形になると思ってたけど勘違いでした~」ということが起きかねません。

というわけでまず、直線が集まっても三角形ができないとき、というのを確認しておきましょう。

三本の直線が集まって三角形ができないのは、以下のふたつの場合のうち、いずれか一つでも当てはまるときです。

二本の直線が平行である

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まず大前提として、平行でないふたつの直線はただ一つの交点を持つ、と言えます。

逆に言えば、平行ならば交点を持たないor二つの直線は完全に一致、ということです。

交点が無かったり完全に一致したりしたら、三角形が作れないのは明らかですね。

三本の直線が、すべて同じ交点で交わっている

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直線三本で三角形を作るとき、それぞれの交点が三角形の頂点になります。

直線三本で作れる交点の数って、基本的には三つですよね…それが上の図みたいに一つにギュって集まってたら、そりゃ三角形にはならないでしょう。

では以上の二点をふまえて、ポイントです。

  • 座標上での三角形は、二線が平行or三線が一点で交わるときに不成立!

三角形の面積

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こういう三角形の面積を求めるときは、次の図のように軸と平行な補助線をひとつの頂点から引き、一辺が軸と平行な三角形がふたつ出てくるようにするのが定石ですよね。
(y軸と平行に引くことが多いですが、場合によってはx軸と平行でもよいです。)

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でもこの手の計算って、ちょっと面倒じゃないですか?
実はこういう三角形の面積を出す公式があります。

座標上の三角形の面積公式

三角形の面積をSとすると:

S=\frac{1}{2}\left| (a_1-c_1)(b_2-c_2)-(a_2-c_2)(b_1-c_1)\right|

(絶対値の記号がついてることに注意しましょう。)

覚えてしまえば便利なんですが、これ結構覚えづらいのでミスのもとにもなります…。
ですから公式を忘れても解けるように、面積導出の計算手順を確認しがてらこの公式を導いてみましょう。

公式の導出

さて、上の図のように三角形を二つに割ったとしましょう。

まずは点線部分の長さを求めたいですね。(点線部分を底辺とする三角形が左右に一つずつある、というふうに見たいので)

そのために、点Dの座標を点A,B,Cの座標を使って表していきます。

d_1=c_1なのは、点線がy軸と平行なことから明らかですね。

d_2の値を得るには、直線ABの式を出してそこにx=c_1を代入すればよいでしょう。
点Aと点Bの間の変化の割合\frac{b_2-a_2}{b_1-a_1}ですから、定点公式を用いればy=\frac{b_2-a_2}{b_1-a_1}(x-a_1)+a_2が直線ABの式とわかります。
そしてここにx=c_1を代入すれば、d_2=\frac{b_2-a_2}{b_1-a_1}(c_1-a_1)+a_2が得られました。

ここまでくると線分CDの長さが分かりますね。
CD=d_2-c_2=\frac{b_2-a_2}{b_1-a_1}(c_1-a_1)+a_2-c_2です。

ちょっと式が煩雑なので、しばらくはCDをそのまま使って、あとでいま求めたものを代入する感じで行きましょう。

CDを用いてSを表すと、二つに割った三角形の和ですから:

\begin{aligned}
S&=\triangle{ACD}+\triangle{CDB}\\
&=\frac{1}{2}(b_1-c_1)\times CD + \frac{1}{2}(c_1-a_1)\times CD\\
&=\frac{1}{2}\{(b_1-c_1)+(c_1-a_1)\}\times CD\\
&=\frac{1}{2}(b_1-a_1)\times CD
\end{aligned}

となりますね。

ここで注意してほしいのは、出てきた結果にc_1が含まれていないということです。つまり、二つの三角形の高さの和はc_1によりません。よって普段普通に計算するときも、いきなりS=\frac{1}{2}(b_1-a_1)\times CDとしてよい、というわけです。

少し話がそれましたね。本題に戻ります。

それでは、S=\frac{1}{2}(b_1-a_1)\times CDに上で求めたCDを代入しましょう:

\begin{aligned}
S&=\frac{1}{2}(b_1-a_1)\times CD\\
&=\frac{1}{2}(b_1-a_1)\times \left(\frac{b_2-a_2}{b_1-a_1}(c_1-a_1)+a_2-c_2\right)\\
&=\frac{1}{2}(b_2-a_2)(c_1-a_1)+\frac{1}{2}(b_1-a_1)(a_2-c_2)\\
&=\frac{1}{2}\{ (a_1-c_1)(b_2-c_2)-(a_2-c_2)(b_1-c_1)\}
\end{aligned}

となって、上の公式とほぼ同じものが出ます。

あれ、絶対値がついてないって?
それは、今回は上の図の設定でやっているからです。例えば上の図で点Cが線分ABより上にあったら、今のやり方でやると符号がひっくり返りますね。

したがって公式のように絶対値をつけることで、そういった場合をすべてカバーできるのですね。

今回の宿題

  1. 中学2年の単元「一次関数」などから、三角形がらみの問題10問以上

を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。

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