二次方程式って、ポイントが実はかなり限られています。それは、
- 解の公式
- 解の個数
- 解と係数の関係
の3つです。少ないですが、絶対抑えなければいけないところだとも言えます。
特に解と係数の関係は、覚えていなければ解けず、差がつきやすいという場合がかなりあります。ですので、今回できっちり覚えてくださいね。
というわけで、今回は前半で解の公式回りと個数の話を整理し、後半で解と係数の関係を学んでいくという感じで行きます。
今回はポイントというより、全部覚えていなければならない基本知識という感じです。
解の公式と解の個数
二次方程式はこれさえあれば解ける、それが解の公式ですね。
試験中なんかは、因数分解しようと長時間悩むくらいならとっととこれを使うべきです。(まぁ因数分解の方が思いつけば早いので、普段の練習では多少考える練習はしておくべきですが。)
オーソドックスな方をまず1つ紹介します。
\begin{aligned} 二次方程式ax^2+&bx+c=0の解は、\\ x&=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\ \end{aligned}
この式を見ても分かる通り、二次方程式の解というのは普通2つあるわけです。
ただ2つじゃないときってありますよね…この公式を見て少し考えてみてください。
…分かりましたか?それはb^2-4ac=0のときと、b^2-4ac<0のときですね。
b^2-4ac=0のときは、\pmどちらの値をとっても関係なくなってしまうので解は1つです。つまり、二次方程式の解が2つになるのは基本的に\sqrt{b^2-4ac}のせいだと言えるわけです。
よってb^2-4ac<0のときは、ルートの中身が負の数なんて存在しないので解は存在しません。まあ厳密にはルートの中身が負の数だと虚数という数が出てくるのですが、中学では習わないので気にしなくて良いです。
ちなみに、a=0の時も解無し何じゃないかと思った人。良いセンスしてますね。
分母がゼロってのはやってはいけないルールになっているので、確かに解無しな気がします。
ただ、よく考えてください。a=0のときって…そもそも二次方程式じゃなくないですか??
解の公式は二次方程式に対して使える公式なので、そもそもの設定を満たしていないことになります。だから、二次方程式じゃないものに対して公式を当てはめようとしているのがそもそも間違い、ということになりますね。
一応、二次方程式の解の個数についてまとめておきましょう。
- b^2-4ac>0のとき、解は2つ。
- b^2-4ac=0のとき、解は1つ。(これを重解条件ということもあります)
- b^2-4ac<0のとき、解は無い。
では最後に、解の公式の応用版を教えておきます。これは一次の項の係数が偶数の時に使えるもので、これを使うと少し計算が楽になります。
ただこれを使って逆に計算ミスをする人も割といるので、まぁ無理はしないでください。使いこなせると思った人だけ覚えましょう。
\begin{aligned} 二次方程式ax^2+&2bx+c=0の解は、\\ x&=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-ac}}{a}\\ \end{aligned}
この公式は、ax^2+2bx+c=0に対して元の公式を使うことで求めることができます。
ちょーっとだけ元の公式と違うのが分かりますか?
ちょっと違うがゆえにごちゃごちゃになる人続出なのです。本当この公式を使うときは気を付けてください。使いこなせば、計算に無駄がなくなって良いんですけどね…。
解と係数の関係
さて、いよいよ本題の解と係数の関係です。
いきなり公式だけ教えるのではなく、導き出すところから見ていくのがわかりやすいでしょう。難しいものではないので、一度読めばどう導き出せばいいのか覚えられると思います。
まずは下の例を見てみてください。
3x^2+9x+6=0
のような二次方程式を考えてみましょう。
これ、因数分解を使って解を出せますね:
3(x+1)(x+2)=0
というふうに因数分解できて、解は-1,-2です。
さて、ここで重要な考え方を言います。
「因数分解すれば解を出せるなら、逆に、解が分かってれば因数分解の形を(だいたい)出せる」
ここからこの考え方を確かめます。
上の例で、逆に二次方程式の解が-1,-2ということだけ分かっていたとしましょう。解が-1,-2である時って、
(x+1)(x+2)=0
が成り立つますよね。だって解が-1,-2ってことは、xに-1を代入しても-2を代入しても正しくなるってことですから。たしかにこの式は-1,-2のいずれをxに代入しても成り立ちます。
はい、ここまででだいたい元の形が出せました。
等式なので、(本質的な意味はありませんが)両辺に3をかけてもよく、そうすると:
3(x+1)(x+2)=0
となって、最終的には完全に元の式が得られます。
この例の考え方を一般化したものが、解と係数の公式です。
ax^2+bx+c=0
という式を考えましょう。a≠0です。
さて、ここでこの方程式の解はA,Bの2つであると分かっていたとします。AとBは等しくても違うものでも構いません。
このとき上の例のように考えて、左辺は:
ax^2+bx+c=a(x-A)(x-B)
こんな形に変形できるはずです。(解がA,Bなのだからこういう形になる以外あり得ません。)
ここで、この式の右辺を展開します:
\begin{aligned} ax^2+bx+c&=a(x-A)(x-B)\\ &=a\{x^2-(A+B)x+AB\}\\ &=ax^2-a(A+B)x+aAB \end{aligned}
さて、ここでこれはxについての恒等式です。
つまり、係数同士を比較したときにそれらはそれぞれ等しいはずですね。
特に一次の項と定数項を比較して…:
\left\{ \begin{aligned} b&=-a(A+B)\\ c&=aAB \end{aligned} \right.
が成立します。
あとは形を整えて:
\left\{ \begin{aligned} -\frac{b}{a}&=A+B\\ \frac{c}{a}&=AB \end{aligned} \right.
とすれば、これが解と係数の関係です。
こうして、二次方程式と方程式の解を結びつける強力な道具を手に入れることとなります。
これ、二次方程式関連の問題では本当によく出てきます。
導出さえ覚えておけば忘れないので、とりあえず今回でバッチリ覚えてしまってください!!
今回の宿題
- 中学3年の単元「二次方程式」から問題15問以上
を、今回の説明を意識して解いてみてください。
学校で配られた問題集でも、ネット上の問題でも大丈夫です。